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 林蔵、奥の道未知!をいく

 江戸時代の探検家、間宮林蔵を題材とした小説です。

その七

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その七

林蔵は、伊能忠敬からゆずりうけた英国製の6分儀、コンパスつきの観測儀、作図用具をもって、「この品々の使用法を教えて頂だきたい」と、熊次郎と貞助をまじえて言った。

 自分は6分儀を使って太陽の高さを測定する術をえたと伝えると、ゴロブニンは、やはりわからなそうであったが、通訳もうまく伝えられず、これはやはり難しかったかな、と林蔵も思った。

 ゴロブニンも後に、日本幽囚記に記しているが、林蔵がオランダの本で測量を学んだように思ったみたいである。ゴロブニンも林蔵を警戒していたかもしれなかった。

 林蔵という日本の測量家は、わざと自分がすでに知ってるくせに、何か、自分たちのことを探ろうと、知らないふりをして教えてくれときいてきたと、疑っていたようであった。

 お互いにかんぐりながら、何か情報を得ようとしていた感じだが、林蔵もあまり成果がでないと感じた。

 次は、自分が樺太にいき、また、清国領のアムール河を上った話をした。やはり酒でも持って行けば、相手も喜ぶと思って、必ず持っていった。
 
 日本の酒もロシア人は喜んでいるな!と思って、話しをする。ロシア人たちもぐいぐいと飲んで、少し笑顔をみせた。

 どうも酔ったかなと思ったが、ゴロブニンたちは酒に強いようで、素面の時とあまり変わらぬ表情で、どういう意味だとまたきいてきたので、林蔵は、また自分の旅の途中で描いた絵などを見せた。

 それから慣れてくると、もっと前、択捉島でのロシア艦の来襲等、シャナの会所で応戦したこと(実際は、当時の責任者、戸田の命令で退却したが)を伝えた。

 「あれは、松前でもすでに何回も言ったがロシア政府の指令でない」と、ゴロブニンはうんざりした表情になってに答えた。

 「ではなぜまた国後に来た?」と林蔵はきいた。

 「千島列島の海岸測量だ」とゴロブニンはうんざりした表情で言った。

 「択捉島までは日本の領土だ。他国の測量とは無礼であろう」と林蔵は訴く。

 「航海の安全のためには、西洋では、航路に接する地の測量をする」何でこんなことをきくのか、といった感じのゴロブニンであった。

 こいつら、実は日本人がいないなら少しずつロシア人を入植させて、しまいには千島列島全部をとろうとしたんじゃないか!、と林蔵は、再び思って内心怒りを覚えた。
 
 第6感というか、松前奉行はこいつらうまく騙されている、と心配になった。
 
 よーし、それならこちらも言ってやるぞ!と思って、

 「択捉島への来襲があった後に、日本側では3艘の船をオホーツクに送って、同地を焼き払おうと思っていましたよ!」と語気を強くして言った。

 それから、林蔵の言葉を村上貞助が訳してくれたが、すでに訳す前から相手はわかっているような気がした。やはり、この男、ある程度日本語がわかるんじゃないのか。貞助が通訳して伝えてからわかったような顔をしているが、しぐさがちょっと大げさでなんとなく不自然な感じがする。

 そんな林蔵の疑いを気にしないようにゴロブニンは笑みをうかべて返答した。

 「日本側がオホーツクに至る航路を発見できないのは遺憾ですな。そうでなければ3艘でなく、30でも300でも船を送ってこれるでしょうけど、一艘も日本にもどれないでしょう」とゴロブニンは半ば馬鹿にしたように答えた。

 林蔵は思わず、カーとなり、つい感情的になり、「日本人は戦士にかけては異国に負けない」と言ったが、相手はあまり表情をかえないので少しバカにされたような気がした。

 それから、話題を変えようと、太陽と月または星との距離によって経度を探知できると聞いたから教えてくれ、ときいてみたが、ゴロブニンは、天文儀も何もないし、難しいロシア語を通訳できない、と言った。

 それで「江戸から、オランダの通詞と学者もつれてきて、学術関係の事項について説明を求める予定だが、その時はとぼけられないぞ」と言って話をうちきった。

 ゴロブニンたちの監禁された部屋を出た林蔵に、通詞の村上貞助が言った。

 「間宮さんはゴロブニンたちのこと、かなり疑っているようですね」
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プロフィール

作者:福田純也
福田純也
性別:男性
男性

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