第四章 大陸へデレンかな?
数日後、ニヴフ人の集落であるノテトまでひき返した林蔵は、せっかく北樺太まで来たこともあり、もっと交易について知りたくなった。蝦夷の松前藩と交易するのに、必ずといっても良いくらい清国の織物を輸出品として持ってくるアイヌ人が、さらに北の樺太でも交易している。
誰と交易しているか、たぶん、ニヴフ人が南下して、トンナイや白主と言った樺太の南のアイヌ人の集落まで来て交易するとして、そのニヴフ人は、北に戻った後、狭い海峡を渡るか、アムール河を上って、大陸の清国人と交易しているにちがいない。
ノテトの少し北、ラッカのあたりまで行くと、対岸の大陸との狭間の海が本当にせまかった(実際、一番狭い箇所はわずか2里(8キロ)くらいである)。舟でまず大陸へ渡り、今度は大陸にそって北上して、あのアムール河の河口まで着いたら、そのまま河を上流に上るのかもしれない、と推理した。