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 林蔵、奥の道未知!をいく

 江戸時代の探検家、間宮林蔵を題材とした小説です。

その二

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その二

林蔵が、樺太北端を調査し、さらにすぐ目の前にあるとは言え、東韃靼まで上陸して、川を上って清国の役人と会ったという話は、奉行所だけでなく、松前中の評判となった。

 この時代、テレビもラジオもないから、当然、芸能人やスポーツ選手の話などはしない。でも人は他人の噂をしたがるものであり、噂が噂をよび、すぐに北の酒場では、鮭にも負けない肴となっていた。

 蝦夷地でさえ(始めて蝦夷地に来た頃の林蔵のように)和人はアイヌとちがって、ひどい冬の寒さで耐えかね、水腫病で倒れるのに、樺太のそれも北部に行き、さらに、現地人と渡海していたいう話題はやはりすごいことであった。林蔵は高橋重賢に、夏でしたし、渡海自体は一番狭いところでは2里(8km)くらいです。それに上陸してからずっとアムール河を舟でぼけ~っとしてました。海のような大河でしたから、ひたすら舟で行ったし、と謙遜したつもりだったが、相手にとっては想像を絶することであった。

 重賢に話をしたら、ほっとしたのか、急に風邪をひき、寝込んでしまった。ああ、風邪とは油断したかな。でもつかれたのかな、俺とした事が!と思ったが、特に何もすることもなく、休んでいいと言われたせいか、一週間程、ずっと寝込んでしまった。その後も、夕方は寒く雪道を歩くのもかったるい。また、まわりからは、すごい噂になっているし、あまり、外出もできなかった。
そんなこともあってか、熱いお酒を飲み、重賢の家の召使などと話をする他は、何もなく一気に年を老ったような気がしてきた。

 重賢もそんな林蔵を心配したのか、ある日、看護をしてくれる大柄な女性を用意してくれた。何でも、アイヌの女性であるが、きちんと日本語も話し、更に、日本女性のように着物を着ていた。林蔵が、アイヌ語で話しかけると、女性はくすっと笑って返した。名前をきくと、ノンノと言います、と答えた。ノンノ、アイヌ語で花という意味だ。林蔵は、いい名だと思った。周りの日本人からは、ののと言われていた。

 俺はここでは有名になりすぎた。日本人の間では。それはうれしいことであるが、やはりつかれる。人の噂も75日というから、しばらくは続く。ここに、しばらくいて休むようにと言われたが、本音は松前からでたい。そう思った。だが、体調もよくないし、松前に残って、また落ち着いたら、いずれ探検での出来事の記録や現地で描いた絵をまとめておかねばならない。仕方ないので、林蔵はここに残ったが、アイヌ語を話すと、何故かおちつく自分に気づいた。

 そうだ、日本に俺は慣れてない、1年と2ヶ月も離れて、しかも今回は松田様とも別れて一人でいったから、なおさらである。そして、介護をしてくれる彼女は、アイヌ人だし、でも日本語も達者だ。高橋様に病気療養ということで、彼女の村にとまらせてもらおうと思って高橋に願い出ると、高橋は「うむ、わかった。しっかりと養生致せ、ただ春までに、またもどって参れ」と言って、あっさりと許可を与えてくれた。

 幸い彼女の村は、松前から歩いて半日くらいのところであった。彼女の家はアイヌの村の中でも少し離れていた。どうやら一度、日本人(和人)の漁民に嫁いだが、酒飲みの夫の暴力から逃れるよう、別れて、またアイヌの村の空いた家でくらしていたが、背丈が5尺5寸(166cm)と彼よりも大きく、そこにも居づらく、また日本語も達者で、平仮名、片仮名の読み書きもできるので、高橋重賢の家で林蔵の世話をするために雇われていた。

 「不憫な女だ」と林蔵は思った。

 俺もいづれは江戸へ行かねばならない。それに今後もどうなるか分からない。林蔵は休みながら、林蔵のために酒食の世話をしてくれる彼女をみて、自分には性欲がわいていることを感じた。いかん、俺は、アイヌの彼女を好きになっては、と数日間は我慢した。
 だが、やさしく微えんで、酒をついでもらうとつい、手をにぎった。彼女は、林蔵をやさしそうな目で見つめた。

 その夜、お互い冷えた身体を温めるように、二人は寒い夜、ついに抱きあうと、結ばれていった。翌朝、ついにやってしまった。それもアイヌの女性と!と、林蔵は思ったが、相手は全く気にしていないようであった。性の処理も、もしかしたら高橋重賢様から依頼されていたのかなとも思ったが、相手はアイヌ語と、わざとだろうか、つたない日本語を混ぜて、食の支度がおわると声をかけてきた。

 それから、夜になると、いつも外は厳寒の冬である。天候は悪く、寒さがひどく、林蔵は毎晩ノンノの白い肌の中で疲れをいやすよう眠った。
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プロフィール

作者:福田純也
福田純也
性別:男性
男性

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