第六章 蝦夷の華、江戸の花
9月28日、約束通り松田が手配してくれた舟に乗り白主をはなれた。夕方にはもう宗谷、ああついに、蝦夷地、日の本だ!と林蔵は思うとまた、目頭があつくなった。
旧暦で10月は、今の暦で11月半ば、蝦夷地もかなり冷え、すでに宗谷もうっすらと雪化粧である。
宗谷に着いた林蔵は、早速、松前奉行から出張していた調役並の深山宇平太に面会した。深山は林蔵が樺太北端だけでなく、指を凍傷のせいで苦しみながらも、現地のニヴフ人と共に東韃靼の地まで行き、清国の役人と会ったことをきき、ひどく驚いた。